社長メッセージ

トップメッセージ

「我々はこの街に必要とされる企業を目指す。そしてお客様に喜んでいただくことが何よりの使命」

清水での創業から、41年の時を重ねて

 2017年で創業41年を迎えるなすびグループは、静岡市内を中心に17の店舗を展開しており、さらに海外でもFC店舗として 中国浙江省に和食を中心とした4店舗のレストラン、 加えて2014年末にはハワイのホノルルにある創業60年の和菓子メーカー「FUJIYA HAWAII」の株式を取得しその経営にも携わっています。
 私の父が脱サラをし、前副会長赤堀正身氏とともに静岡県清水に17坪25席の和食店を開業させて以来、41年の歴史を重ねて現在の姿へと成長してきました。

幼少の頃から、父に聞かされ続けた「絶対に継ぐな」の言葉。

 私は静岡県清水でこの店を育て上げた父のもとで育ちましたが、幼い頃から父には「絶対にこの店を継ぐな」と言われ続けてきました。
 父はこの商売の事を、「こんなに割りの悪い商売はない。この商売をやる限り、一生、人と金の苦労に追いかけられる運命だ」とよく申しておりました。
 私が中学の頃、店に顔を出した時に父は、働く従業員を「あの人は自己破産している。そしてあの人は家庭環境が本当に複雑だ。あの人も大きな借金を抱えている…。 調理場もそうだ。きちんと高校を卒業した人なんていない。だから絶対にこの商売に就かず、大学までしっかり卒業して安定した会社に入り、 盆と正月だけ清水に帰ってくるような生活をしなさい」とよく言われました。

高校から大学へ。東京には負けたくない。

 私は地元の高校に入学しそこで空手に出会いました。高校から始めた空手ではありましたが、その魅力にとりつかれ、 またある程度の力を付けることもできたことで、大学にも空手の推薦で進学することができました。
 振り返れば、この空手で高校・大学ともに主将を務めさせていただいたことは、精神力やリーダーシップを学ぶ貴重な経験になったと思います。
 県大会や東海地区大会では優勝できても、こと全国に舞台を移すと、1、2回戦をなかなか突破できないという悔しい思いは、卒業後の進路選定にも大きく影響し、 大学を卒業したら「とにかく一番の会社へ」という強い思いを育てていきました。
 その結果、バブル崩壊後の就職超氷河期という厳しい時代にも関わらず、 当時の就職人気ランキング1位だった観光・旅行関連の大企業一社だけに照準を合わせて就職活動を展開し、運の良さも手伝ってか内定を頂くことができました。
 晴れて入社を果たした後、東京での新入社員研修の折り、同期のほとんどが一流大学の出身ぞろいという環境に身を置き、 「やっと追いつけた!」と思ったのが、偽らざる当時の心境でした。
 その後は学歴ではなく実績で同期に勝つ、と心に決め、がむしゃらに営業に出ては仕事を取り数字と結果に結びつける日々…。 そんな私の充実した姿を見て両親が本当に喜んでくれたのを、今もはっきりと憶えています。

このまま一生、組織の一員でいいのか?心の中に芽ばえ始めた疑問。

 しかしそんな日々の中、「本当に自分はこのままでいいのか?」という疑問が少しずつ膨らんでいくのを自覚せずにはいられませんでした。
 「自分の代わりがいる大組織に埋没するよりも、父の店の基盤を生かし、チャレンジする人生の方がおもしろいのではないか?」。 そんな思いがやがて決心へと変わる頃、意を決して父に、今の仕事を辞めて店を継ぎたいという思いを伝えました。しかし父の反応は「絶対にやめなさい!今の会社にいる方が人間らしい暮らしができる」という猛反対でした。
 大変ありがたいことに在社中の当時の上司や同僚も私の退社を心から引き留めてくださいましたが、自分の心にだけは嘘はつけず、3年間の会社員生活に区切りをつけ、 25歳の時にこの店を継ぐこととなったのです。

業績順調な大企業から、赤字企業へ。

 私が入社した当時の会社の状況は、店舗数3店舗、そして赤字経営。しかも売上以上の借金を抱えるという債務超過の状況でした。
 当時の財務状況が理解できるようになった今、冷静に考えれば、父が私に「絶対に継ぐな」と言っていたその意味が身にしみて良く理解できます。
 そんな父も2009年に他界しましたが、私の入社に断固反対するような状況の中、父が悩み苦しみながら作りあげたこの基盤があってこその今であり、創業者としての父には、 心から感謝と崇敬の意を抱いています。
 当時の株式会社なすびは全社員12名、パートアルバイトさんが13名の計25名という所帯で、「自分たちと同じように店もお客様も一緒に年をとってしまった」 とよく父が言っていた通り、スタッフには20代から40代の方すらいませんでした。
 それでもともかくこの状況を一変させねばと、まったくの素人からの苦心がスタートしたのです。

初めて手がけた店から、大きな痛手とともに学んだこと。

 まず手始めとして、静岡市郊外にあった喫茶店の居抜き物件を手に入れ、800万円をかけて手直しし、和食屋の新店舗をオープンさせました。 幸い会社員時代から得意としていた営業と接客のおかげで、開店後すぐに売上が上がりました。しかしこの小さな成功が「飲食業はそんなに難しくない」 という思い上がりの気持ちを生んでしまったのです。
 案の定、開店1年を経て、お客様が一巡したところで売上は急落。前年比2割の低下は、飲食店経験0の私にとって至極当然の結果でした。
 今思えば、この時点で飲食業の怖さを身を以て知ることができたのは幸運でした。遅ればせながら「これではまずい!」と、料理、サービス、お酒、内装デザイン、 アルバイト教育に至るまで、食ビジネスに関わるありとあらゆることを徹底的に勉強し始める契機になったからです。
 ありがたいことに、旅行関連の会社員時代に様々な国や旅館、レストランに出向いて沢山のものを見せてもらった経験が、ここで役立ちました。
 漠然としながらも「こんな店を創ればいけるのではないか」という構想の糧となっていったのです。

頭では理解していた店づくり。その本当の苦労を身をもって知る

 最初の店舗から2年後、27歳の時に今度は市の中心部から歩いて20分という、決して立地が良いとはいえない寿司屋の居抜き物件を改装して、 35坪の和食店のオープンにこぎ着けました。
 この店はとにかく予算がない中での船出。それでも何とか数百万を捻出し、店をリフォームしました。内装の壁も自分で和紙を買ってきて貼りつけ、 エアコンを買う予算すらなかったため、自宅のエアコンを外して店に取り付けたりと、苦心惨憺でした。

お客様との、店舗イメージの共有。それが本当の第一歩に。

 「お客様はこんな店を求めているはず」。手作りながらもそんな思いを体現したこの店は、私のお客様への心からの問いかけでした。
 その結果は、連日の満席。いわゆる大繁盛店となり、私の思いとお客様のニーズがマッチしていることを図らずも証明してくれることとなりました。
 この店舗の業績が上がるにつれ、様々なルートから新たな物件の情報が集まってくるようになりました。しかしまたここで新たなハードルに直面することとなります。 それは繁盛店を作ることと、企業経営とはまったく違うことだという点でした。
 一店舗目の成功を受け、金融機関からの借入をてこに土地建物ビルを購入し、内装を作り替えての多数店舗展開を行っていった結果、入社当時は3億だった売上が、 5年後には10億へと成長しました。しかしそれとともに借入金も大きく膨らみ、31歳で11億円もの借金を背負うこととなってしまったのです。

拡大ではなく、企業としての成長へ。安定経営を掲げての改革。

 経験も知識も足りず、ただ「何とかしなければというあせり」。それが先行した結果がこの多大な借入金でした。
 しかし、大変ありがたいことにどのお店もお客様からは変わらずご支持をいただき、売上だけは順調に推移していました。 この売上=お客様の支持率という何よりも心強い味方を得て、単なる拡大ではない企業としての成長へと大きく舵を切ることができたのです。

経営の視点で、一から「ヒト・モノ・カネ」を洗い直し。

 急激に店舗を増やした拡大の弊害は、内部に如実に現れていました。例えばメニュー開発、 人の採用とその教育などを担当する専任スタッフすらいないのです。結局それらすべては私が一人で賄わねばなりませんでした。と言うのも私のすぐ下の社員は、 店長や料理長という現場のチーフ。つまり本部として機能する組織が何もない状態だったのです。
 バイトの教育体制から売上の管理まで、企業としてグループを動かす仕組みを一刻も早く作らなければならないというのが最大の焦点になりました。
 そこで私の片腕として、当時ビールメーカーに勤めていた弟を説得し、専務として売上及び経費の管理のオンライン化や社員教員を担当してもらい、 内部固めを少しずつ進めていきました。
 急激な出店によって売上以上の借入を招いてしまった反省を生かし、損益計算書でなくバランスシートを重視した「キャッシュベース経営」を基本に、 「企業の安定度を図る指標である自己資本比率をいかに高めるか」という課題に向けて、経営改善を実践していった結果、 債務超過からスタートした自己資本比率は今期84.4%へと大きく改善し、念願の無借金経営を達成することができました

社員のやりがい創出への数々の取り組み。

 今、私には心から仲間だといえる多くの幹部社員がいます。金と人の苦労に追いかけられた10数年前から共に苦労し、 一緒になすびグループを支えてきてくれた彼らに報いるため、3年前から「ガラス張りの経営」を掲げ、今この会社がどんな状況に なるのかを全て公開するようにしています。
 なすびグループにとって、人の絆とチームワークは何よりの財産。その証として創業時から毎月1日には幹部社員で清水の神社にお参りしており、 これを40年間・480回以上欠かしたことはありません。前月に活躍してくれた社員や、嬉しい話題を提供してくれた社員がならす鐘の音のもと、全員が心をひとつにし、 なすびグループの発展を祈念しています。
 さらになすびグループでは、社員の心の充実と仕事のやりがい向上を図るために、2014年に社員自身が中心となって「なすびフィロソフィ」を策定しました。 これを浸透させるために各店舗で1週間に一度フィロソフィミーティングを開催し、ネット上でそのミーティング内容を全社員が評価する仕組みをつくり、 現在も引き続き取り組んでいます。
その他にも

  • ●「Good JOBカード」を活用し、互いの仕事を認め合う職場環境づくり。
  • ●半期に一度の「ビジョンシート」により、職場環境からプライベートまで、社員一人一人の心の状況が把握できる仕組みづくり。
  • ●社員やPAさんの家族をお店に招待し家族の働く姿を見てもらい、支えてくれる方々にも会社を愛してもらう「子供参観日」の開催。
  • ●年1回、正社員からパート、アルバイトの皆様まで参加しての「ALL NASUBI フォーラム」を開催し、全スタッフで会社の方向性を共有。
  • ●和食・フレンチ・イタリアン・寿司・スイーツと各店のスペシャリストから幅広い技術を学べる「NASUBIアカデミー」を月2回開催。
  • ●日頃の感謝をこめて、社長が全社員に給与を直接手渡し。

など、社員と心のつながり生まれるような取り組みをいたしております。まだまだやらなければならないことは沢山ありますが、 「心をベースにした経営」を実践してまいります。

企業は「人」。人の力こそが、私たちの原動力に。

 社員の皆様の非常に高い定着率は、なすびグループが自慢できることの一つ。新商品開発、素材の発掘、地域の信用やネットワーク。 それらのすべてが「人の力」の成せる技です。
 社員の皆様も、静岡に暮らす消費者の一人。社員に愛され信頼される企業であり続けることは、静岡のお客様に愛されるための第一歩でもあります。
 無借金経営に代表される強固な財務体制を背景に、静岡の食文化の発信基地として、誇りを持って働ける環境を、これからも実現し続けていきたいと願っています。

2016年・離職率
飲食業 31.4%
全産業 15.5%
なすび 8.2%

良い店・良い企業への終わらない挑戦。

 なすびグループの店舗展開の基本は、静岡市という人口70万人の商圏にあります。この商圏の中で多くの店舗が独自の個性を発揮できるよう、 店舗ごとにオリジナルの業態や店名を持つ出店方法を取ってきました。一つの業態をチェーン展開していないため、商品開発、オペレーション、 コンセプト管理をマニュアル化できず、とても多くの手間がかかる一方で、グループとしての運営リスクの分散ができるというメリットがあります。
 また、弊社グループの店舗の中で、お客様にお店を自在に使い分けていただけるのも大きな特長。
 例えば、接待なら無庵、会社の宴会なら炙之介、デートなら坐坊など、お客様の利用動機や年代層によってチョイスできるというのは、 他社にはあまり見られないストロングポイントでしょう。
 静岡県内はもとより、県外からの集客にも力を入れて参り、2003年は2000人ほどに過ぎなかった県外のお客様数が、 現在では年間5万人以上を数えるまでになりました。
 東京に進出したら?と時折お勧めくださる方もいらっしゃいますが、私たちとしては「東京に店を出さなくても、静岡に来て頂ければいい」という発想のもと、 「静岡の食文化の創造と発信」を通じて一人でも多くの方に静岡清水に来訪いただき、地元の活性化や、社員の誇りの創出につなげていけたら、 と強く思っております。
  弊社は創業40周年を迎え、ようやく企業グループとしてのスタートラインに立ったところです。 ここからが第三次創業期の幕開け。心新たに未来につながる地域から必要とされ続け、 仲間から愛される静岡で唯一無二の小さな一流企業を目指し経営を伸ばしてまいります。
 変わらぬご支援のほど、ぜひよろしくお願い申し上げます。

プロフィール

藤田圭亮(ふじたけいすけ)
株式会社なすび 代表取締役社長


昭和48年3月29日生まれ
愛知大学経営学部卒業

平成7年、株式会社JTB入社。
平成10年5月、株式会社なすび入社。
東海大学 非常勤講師(2013年〜)
空手道2段。高校・大学とも空手部主将を務め、大学時代には東海地区学生空手道選手権、個人組手優勝。

藤田圭亮

株式会社なすび

本社 〒424-0943 静岡県静岡市清水区港町2-1-1

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